雄蛇ヶ池は沈黙した。あるバスポンドの誕生とその一生の報告/1970年代の雄蛇ヶ池

名著「ブラックバス釣りの楽しみ方」(初版1978年)から遡ること2年、月刊フィッシング1976年9月号の別冊付録としてバスフィッシングの小冊子(32ページ)が出版されていました。写真はその表紙です。
蓮の中に浮いているボートにペイントされた文字を見てください。


ボートに白い文字で「ツカモト」。そう、この写真は雄蛇ヶ池です。わたしも乗ったことありますが、当時はこのような木製の船でした。表紙に雄蛇ヶ池の文字はありませんが、”この水草の新天地”とは雄蛇ヶ池のことなのです。
時は1970年代半ば、日本のバスフィッシング黎明期。この小冊子は、「東京ロッド&ガンクラブ」の則弘祐氏・山田周治氏らによるバスフィッシングレポートであり、リリーパッドのバスフィッシング解説書になっています。
バスフィッシングという素晴らしい遊びを世に広めたいという気概に満ち、バスフィッシング先駆者の彼ら自身が如何にバスフィッシングにのめり込んでいたかがひしひしと伝わってくる内容です。この小冊子の内容をベースにして、後に「ブラックバス釣りの楽しみ方」が執筆されたと思われます。


小冊子最終章(8ページもある)の衝撃的なタイトルは、

「雄蛇ヶ池は沈黙した/あるバスポンドの誕生とあまりにも短かったその一生の報告」

です。
もちろん、掲載されている実釣シーンやフィールドの写真はすべて雄蛇ヶ池(おそらく)です。驚くなかれ、放流に始まる雄蛇ヶ池のバスの歴史ともいえる内容が多くのページをさいて書き綴られてました。


上の写真はその中の一枚。小谷津から取水場方向を撮影したものと思われます。ボートの後方に今はなき取水場の建物が見える、懐かしい光景です。
私がバスフィッシングを始めたのがちょうどこの頃でした。まだ中学生だった私は、初めて見るルアーが山ほど詰めこまれた輸入物のバカでかいタックルボックスを持って雄蛇ヶ池にやってくる大人達を、羨望のまなざしで見つめていました。その中に則弘祐氏・山田周治氏はいたのです。

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編集後記にはこうありました。
「ここでは雄蛇ヶ池を例にバスの生態と成長の歴史が語られています。全国各地に半ば公認、未公認のバスポンドが増え、バス有害論や無責任放流問題が論議を呼んでいる時だけに、この実験と観察は大胆すぎはしまいか?という批判があるいは生まれるかもしれません。しかし、雄蛇ヶ池で述べられている一連の背景をなすものは自然を愛し、そこに魚達の楽園をつくろうとする精神。いいかえれば自然を汚しやらずぶったくりで魚を殺掠する現代への告発ともいうべきものです…」(引用終わり)
つまり、この小冊子は、
東京ロッド&ガンクラブが、雄蛇ヶ池にバスを放流しバスの楽園を創った記録そのものでもあるのです。1971年から7回にわたるブラックバス放流後、多くのアングラーが押し寄せ、その結果としてバスが減り、やがて雄蛇ヶ池は沈黙し楽園は終った…と締めくくられています。

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もちろん、雄蛇ヶ池は終わってなんかいなかった。
釣り人が増え釣られたことが原因でバスが死んだり、当時はまだ珍しい外来魚だったためリリースせずに持ち帰ることによって、雄蛇ヶ池のバスはいくらか減ったのは事実でしょう。
放流からの繁殖が成功した当初、バスは素直にルアーに反応しイージーな釣りができたものが、多くの釣り人が押し寄せた後にはバスがルアーにスレて反応が乏しくなっていったはずです。また、当時のバスフィッシングのレベルを考えると、覆い茂る蓮やヒシ、埋め尽くすカナダモやクロモという状況の中で、アングラー達はどこまでそれを攻略できていたでしょうか。トップやサーフェイスの釣りがメインであり、ルアーの種類も多くなかった時代の話です。
雄蛇ヶ池は沈黙し楽園は終ったのではなく、バス達はあのベジテーションジャングルに守られて育まれ、そして雄蛇ヶ池は真のバスの楽園になっていったのです。(‘ω’)ノ

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コメント

  1. トンカツ★和幸 より:

    食い入るように読みました★
    コメントがうまく書けませんw

  2. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    いいです
    それで十分ですw

  3. mikan0729 より:

    読んでて何だかワクワクしました。
    私は1990年後半の第二次バスブームからしか知らない人間なので、この頃を楽しんで、知ってる人って何だか羨ましいです。

  4. 仲秋時雨 より:

    私も第二次ブーム世代です。
    (^_^)a
    でも地元だけに何か感慨深いかも。

  5. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    mikanさん、どうもです!
    この冊子がでた頃はわたしは子供だったので、その存在をしりませんでした。
    それどころかバス釣りを教えてくれる人がわたしのまわりにはいませんでしたからほんとに手探りでした。。

  6. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    仲秋時雨さん、どうもです!
    そうですよね~
    第一次ブームから雄蛇ヶ池はメジャーフィールドだったわけで。それも他よりデカイバスが釣れると有名だったようです。50なんて夢の時代に、オジャガでは50が釣れてたんです。

  7. スピッツ より:

    こんにちは。
    古き良き時代のこれぞ雄蛇ヶ池って感じなんでしょうね♪
    70年代チャリで通っていた地元のびん沼で大人のルアー釣りに出会い、鮒釣りからルアーに興味が移行したのですが、当時は雷魚でした^^
    ずぅ~と釣れなかったなぁ~と思わず懐かしんでしまいました(笑)

  8. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    スピッツさん、どうもです^^
    わたしも、ずぅ~と釣れなかったですよ~w
    チャリで通いましたね~ 3時に友達の家に集合!とか^^;

  9. フッチャン より:

    この記事は続きがありますか?
    つかじーさんの昔話も聞いてみたいです♪

  10. リョウ より:

    いつ頃だったか忘れましたが、ツカモトの前に車が十数台行列していた事を思い出しました。第二次ブームの時だったのかな?
    今のままでは無理だけど、第三次ブームは来るのかな!?

  11. Basser Tack より:

    この写真の頃のおじゃがに戻ることを祈ります。つかじーさん、その頃まで、ブログ継続をお願いします^^

  12. のりじ より:

    懐かしい想いで読ませて頂きました。
    当時はまだ高校生でした。
    オジャガと宮島の池に小遣い貯めて釣行してました(^m^)
    おっさんになった今でもバス釣りやってます( ´∀`)

  13. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    フッチャンさん、どうもです!
    > つかじーさんの昔話も聞いてみたいです
    そんなのあんまり面白くないですよ( ´ ▽ ` )

  14. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    リョウさん、どうもです!
    第三次ブーム?オジャガの復活って意味なら、
    あと10年以上必要かもしれません。。

  15. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    Tackさん、どうもです!
    > その頃まで、ブログ継続をお願いします^^
    おそらく10年以上先ですけど・・・^^;

  16. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    のりじさん、はじめまして(ですかね)
    コメントありがとうございます!
    わたしもオジャガと宮島池でした、同じですーw

  17. メンタイ より:

    雄蛇ヶ池…良い時代と悪い時代を繰り返す 歴史あるフィールドのひとつですね!
    今の状況が魚にとっても釣り人にとっても良い時代でない事は確かですね…
    果たして10年後はどうなってるんでしょうね…??

  18. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    メンタイさんの言う通りです。
    10年後、ワンドの奥に蓮群落ができ始めてくれれば。。無理かな~
    ソウギョがどれくらい早く死ぬかにかかっています^^;

  19. RINZO より:

    歴史を感じますね 私が5歳くらいの時、黎明期
    このハス楽しそうですよね
    雄蛇ヶ池は真のバスの楽園に
    速く戻ってほしいです オジャガはリリパットじゃないとですよね
    あと10年ですかね?
    私は70歳になっても バザーでいたいのでその時はチャレンジしたいと思います

  20. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    RINZOさん、どうもです!
    > 私は70歳になってもバザーでいたいのでその時はチャレンジしたい
    マジですか^^
    最低でも10年、かな。15年かもしれませんし。。それまでみんなで楽しみにして待ちますか…^^
    それまでブログ続けないとね^^;
    RINZOさんもそれまでブログ続けてくださいねw

  21. TAIDON より:

    自分はグランダー武蔵世代で実際はツネキチ世代だったのでつかじーさんのスタイルに強い憧れをもっているのかもしれません(^^)
    ピュアなバスの反応見てみたいですね♪

  22. つかじー@雄蛇ヶ池 より:

    TAIDONさん、どうもです!
    グランダー武蔵はノーマークでした。はじめて聞いたよー ググりましたw。
    いまはどこもプレッシャー高いですものね( ´ ▽ ` )